有機合成の仕事内容
有機合成とは、人工的に有機化合物を作る技術のことです。医薬品や食品、工業製品などさまざまなものを作り出すのに生かされています。ここでは、有機合成化学者の具体的な仕事内容について紹介します。
有機合成の技術と有機合成化学者の仕事内容とは
有機化合物とは、炭素を基本骨格とした化合物のことです。たとえば、たんぱく質、糖、脂質といった自然界に存在する多くの物質が有機化合物にあたります。19世紀中ごろまで、有機化合物は生命体の中でしか生成されないものだと考えられていました。しかし、有機合成の技術が開発されたことで、有機化合物を人工的に作ることができるようになり、現代社会では欠かせないものをいくつも生み出しています。分子構造に手を加えるなど高度な専門性を要求される作業の中で、新しい物質を生み出せるようになったのです。医薬品にはじまり、農薬、肥料、プラスチック、最近では有機ELに至るまで生活に結びついたさまざまなものが、この有機合成の技術によって作り出されています。
有機合成化学者の主な仕事内容は、医薬品メーカーで新薬の開発、化粧品メーカーで新しいコスメの製造など、当然ながら研究開発がメインになります。このほかにも有機合成化学者は、実際に有機化合物を製造する工場で、製造オペレーターとして働くケースも少なくありません。有機合成ではあらゆる有機化合物を製造できるため、有機合成化学者が働ける環境は幅広くあるといえるでしょう。また、メーカーや工場以外にも、有機合成を研究する大学や研究室で研究員として働く人もいます。
有機合成化学者に必要な知識やスキルは?
有機合成の研究開発スタッフとして働くためには、有機化学の専門知識が必須となります。企業によっては、修士や博士卒、有機合成の実務経験といった、応募条件が設けられていることもあります。たとえば、有機合成では危険物を扱う可能性があることから、甲種危険物取扱者や有機溶剤作業主任者などの資格が求められることも多いので、就職・転職を有利に進めるためにも取得しておくべきでしょう。
薬剤師や化粧品検定のように、応募する業界の知識やスキルを証明する資格をあらかじめ取得しておくのも1つの手です。高い競争率の中でも採用率を上げることができるでしょう。