R&Dコラム

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微生物培養の仕事内容

微生物とは、酵母や放線菌といった、肉眼では構造が判別できないような微小な生物のことです。微生物のなかには、発酵食品や医薬品の製造には欠かせない物質を生成するものも多く、古くから人間の生活に役立てられています。ここでは、微生物を培養する仕事について詳しく紹介していきます。


微生物培養の主な仕事内容と難しさ

微生物培養の主な仕事は、研究に必要となる微生物を実験室で増やし、研究者に提供することです。効率的に微生物を培養するために、どのような温度で保管し、どの程度の酸素が必要で、どのような栄養分を与えればよいかといったことを実験で解明させていきます。実験では、温度・酸素濃度・栄養分などの細かい設定がされており、管理が徹底されていないと正しい結果がでません。そのため、実験を行っている間は、設定温度が保たれているかなど、細部にまで注意を払う必要があります。そんな繊細な実験をさらに難しくさせているのは、ほかの微生物の混入です。目に見えないほど小さい生物を扱っていることから、知らない間に微生物が混入することがあります。1つでも器具や試薬などの減菌処理を忘れてしまうと、実験が台無しになるといったように、微生物培養の仕事には精密さが求められます。
また、培養する微生物は酵母や乳酸菌だけでなく、ウイルスのような病原菌も含まれます。培養が成功して提供したウイルスは、医薬品の開発者の手によって、新たな医薬品や抗菌薬の開発に活用されていきます。

微生物培養の仕事はほかにもある

微生物を培養すること、効率的な培養方法を調べること以外にも、微生物培養の仕事はあります。例えば、有用物質を生成する新たな微生物の調査がその1つです。地球上に何種類の微生物がいるのかという問いは、未だ解明されていません。しかし、微生物はその大きさや性質から考えると、昆虫よりは多いでしょう。昆虫の65万種の数十倍、数百倍、あるいはそれ以上だと考えられています。現在、命名されている微生物は5,000種にも及びません。数知れない種類のなかから、これまでにわずか1%にも満たない種類しか発見されていないということは、新たな微生物の発見の難しさを表しています。そのなかで、有用物質を生成する新たな微生物を発見したときの達成感は、計り知れません。

微生物培養を行っている企業とは?

微生物培養の仕事は、納豆やヨーグルトといった、発酵食品を製造する食品メーカーや医薬品メーカーの研究施設などで行われています。そのほかにも、微生物の培養をして販売を行う企業もあります。
微生物の利用は、食料品や医薬品をイメージしがちですが、農業の分野にも広がっています。微生物を含んだ餌を家畜に与えることによって、健康維持や生産性向上に一役買っています。このように、微生物培養の仕事は多種多様な企業で行われています。就職の際には、
バイオテクノロジーの知識や培養に必要となる実験道具や検査機器を扱うスキルを有していると、有利になるでしょう。