卓越研究員制度とは?
2016年度から文部科学省で実施されている「卓越研究員制度」とは一体どのような制度なのでしょうか。ここでは、卓越研究員制度の概要や具体的な利用方法について詳しく紹介します。
「卓越研究員制度」とは2016年度から文部科学省で実施されている研究員の募集制度のことです。この制度の目的は若手研究者の雇用を安定させることや、産学官のセクター間で研究者の流動を促進させることです。
卓越研究員制度とは優秀な若手研究者を支える制度
卓越研究員制度ができた理由は2つあります。文部科学省の平成27年9月の調査によると、現在の日本では20代30代の若手研究者の雇用形態に問題があることがわかりました。平成25年度には、任期無しの雇用形態である若手研究者は平成19年度の約半数に減っています。その分、任期有りの若手研究者が増えています。このように将来が不安定な状態では、若手研究者が新たな研究領域に手を伸ばせないだろうと考えられたことが理由です。もう1つは産学官のセクター間で研究者の流動がなされていないことが理由です。つまり、民間企業やNPOなどのビジネス機関と、大学の研究施設などの教育機関、国立・公立施設などの政府系の機関で研究者を流動させることが目的とされています。
卓越研究員制度の利用方法は?
卓越研究員制度では人文学や社会学、自然科学など、全分野が対象となります。卓越研究員になるためには、まず日本学術振興会で受け入れ先には、どのような研究機関があるか、どのような研究を行うかを確認します。次に、候補者の選考審査の申請をします。申請には、博士の学位を取得、もしくは満期退学していることや、40歳未満であることなど、いくつかの要件があるため注意が必要です。選考委員会で書面審査後、文部科学省が候補者を決定するという流れです。候補者になったあとは研究機関と当事者同士で交渉を行い、雇用が決定することで、晴れて卓越研究員となれるのです。
卓越研究員制度のメリットとは?
卓越研究員制度は、研究者と雇用側の双方にメリットがあります。研究者側の最大のメリットは、終身雇用が約束されていることです。短期契約のような不安定な雇用に悩むことはなくなるため、独創的な研究にもチャレンジしやすい環境も整うでしょう。 雇用する研究機関側のメリットには、将来性のある若手研究者を確保できることが挙げられます。さらに国からは、研究費として1人当たり年間600万円、研究環境整備費として年間200~300万円ほど補助金が支給されます。 このように双方にメリットがあるため、卓越研究員制度は多くの研究機関や研究者から注目が集まっています。