研究職の有機合成とは?仕事内容・必要スキル・転職の進め方

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この記事では、有機合成が求められる業界・職種別の役割の違い、日々の業務フロー、求人で多い募集パターン、必要スキル、未経験からの入り方、応募準備までを体系的に整理します。


研究職の「有機合成」は、目的物の分子を設計し、反応条件を検討して合成・精製・分析まで行い、製品や研究成果につなげる仕事です。医薬・材料など業界によって求められる成果や評価指標が異なるため、仕事内容の全体像を押さえることが転職成功の近道になります。

この記事では、有機合成が求められる業界・職種別の役割の違い、日々の業務フロー、求人で多い募集パターン、必要スキル、未経験からの入り方、応募準備までを体系的に整理します。

研究職で有機合成が求められる業界・職種

有機合成研究職は「どんな化合物を、何のために、どこまでの品質・量で作るか」によって役割が変わります。まずは代表的な業界・職種ごとの特徴を把握しましょう。

有機合成の仕事は同じ「合成」でも、ゴールが変わると評価される行動も変わります。例えば、探索段階ではスピードと試行回数が価値になりやすい一方、製造に近づくほど再現性・安全性・不純物管理・コストが重要になります。

転職で起きやすいミスマッチは、求人票に「有機合成」とだけ書かれていても、実態が創薬の少量合成なのか、工場スケールを見据えたプロセス検討なのか、材料の物性評価まで含むのかが違うことです。

まずは業界ごとに、何をもって成果とするか、どの工程に比重が置かれるかを理解し、自分が強みを出せる環境を選ぶことが大切です。

・医薬品メーカーの有機合成(創薬・プロセス開発)

医薬の創薬では、活性が期待できる候補化合物を素早く合成し、構造活性相関の検討を回していきます。少量合成と迅速な精製・分析が中心で、並列的に複数化合物を作り分ける力、短いサイクルで改善点を見つける力が評価されやすいです。

一方のプロセス開発は、候補化合物を「安定して」「安全に」「安く」「規格内の品質で」作る方法を固める役割です。スケールアップに伴う発熱や混合、溶解性の問題、不純物の生成経路の把握と抑制、結晶化条件の最適化などが主戦場になります。

創薬とプロセスでは求められる経験の中身が異なります。創薬は反応の引き出しとスピード、プロセスは反応開発だけでなく不純物解析、結晶多形、GMPを見据えた記録と変更管理など、製造へつながる視点が重視されます。

・化学メーカーの有機合成(機能性材料・化成品)

機能性材料や化成品では、合成した分子が最終的に示す物性や性能が成果に直結します。そのため合成と評価の往復が多く、目的物を作って終わりではなく、分子設計や合成条件の違いが分子量分布、熱特性、粘度、分散性、電気特性などにどう影響するかを読み解く力が重要です。

製品化を見据えるほど、入手しやすい原料か、環境規制に抵触しないか、廃液や溶媒回収は現実的か、量産設備で再現できるかといった制約が強くなります。実験室で成立する条件でも、コストや設備上の理由で採用できないことがあるため、早い段階から条件の選択理由を説明できる人が強いです。

材料領域では評価装置やデバイス評価部門と連携する場面も多く、合成の専門性に加えて、評価結果を次の仮説に変換するコミュニケーション力が市場価値につながります。

・大学・公的機関の有機合成(研究補助・共同研究)

大学や公的機関では、基礎から応用までテーマの幅が広く、合成実験の実務遂行、条件検討、分析、サンプル提供、共同研究先との調整などが中心になります。研究室内だけで完結せず、外部へサンプルを渡すため、品質のばらつきを減らす再現性の確保が特に重要です。

研究補助職では、派手なブレークスルーよりも、手順遵守と安全、実験ノートやデータの正確さが評価されやすい傾向があります。誰が見ても追試できる記録を残せることが、研究室の生産性に直結するためです。

また、論文化や学会発表の支援が発生する場合もあり、実験結果を根拠付きで整理し、図表やスペクトルを整える力が活きます。企業と比べると自由度が高い反面、成果の見せ方は研究者としての作法が求められます。

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主な仕事内容

有機合成研究職の業務は「設計→合成→精製→分析→評価→報告」の連続です。企業では特に再現性・安全性・コスト・知財を意識した進め方が求められます。

有機合成の現場では、1回の実験の成功よりも、同じ結果を別の人や別の日でも再現できることが価値になります。そのため、条件検討の段階から意図と根拠を持ち、結果を次の仮説につなげる進め方が欠かせません。

また、企業では安全とコストが常にセットで判断されます。収率が数%落ちるだけでも原料費や後工程の負担が増え、不純物が増えれば規格や精製コストに響きます。研究の意思決定が「製品を作るための研究」になっている点が特徴です。

以下では、日々の業務を工程ごとに分解し、どこで何が見られているかを整理します。

・化合物合成の設計と合成スキーム検討

最初に行うのは、標的化合物をどう作るかの設計です。逆合成で骨格を分解し、出発原料の入手性や価格、官能基許容性を踏まえて合成ルートを組み立てます。

この段階で重要なのは、文献と特許をセットで見ることです。文献に良さそうな反応があっても、特許で同じ条件が押さえられていたり、特定の触媒や溶媒が規制対象だったりします。手を動かす前にリスクを潰すほど、後の手戻りが減ります。

スキーム検討では副反応や不純物も予測します。どの段階で異性体が混ざり得るか、保護基戦略が過剰ではないか、工程数が多すぎないかを考え、なぜそのルートを選んだのかを説明できるロジックに落とし込みます。

・反応実施とスケールアップ検討

フラスコ実験では、溶媒、塩基、触媒、温度、当量、添加順、濃度、攪拌条件などを振って条件スクリーニングを行います。闇雲に条件数を増やすより、反応機構の仮説を立てて検証する方が、短期間で改善に到達しやすいです。

スケールアップでは、実験室で見えにくかった課題が表に出ます。発熱による暴走リスク、攪拌不良による局所高濃度、ガス発生、溶解性の変化、晶析挙動の変化などが典型です。同じレシピを大きくするのではなく、熱と物質移動を意識して操作条件を再設計します。

企業ではリスクアセスメントが前提になります。危険反応の兆候をデータで示し、代替溶媒や代替反応、クエンチ手順の安全性まで含めて提案できると、研究者としての信頼が上がります。

・精製(再結晶・カラム・Prep HPLC)

精製は「目的物を取る」だけでなく、「不純物の性質を理解して排除する」工程です。探索段階ではスピード重視でカラムやPrep HPLCを使い、開発に近い段階では溶媒量や再現性、スケール適性を考えて再結晶や晶析の比重が高まります。

再結晶では溶媒選定が鍵で、溶解度差と不純物の共晶リスクを見ながら条件を詰めます。冷却速度やシーディングの有無で粒径やろ過性が変わり、後工程の操作性にも影響するため、操作手順として再現できる形に落とすことが重要です。

カラムは溶媒系、担体、ロード量、流速で結果が大きく変わります。スケールが大きくなるほど溶媒コストと廃液負荷が増えるため、精製をボトルネックにしない設計力が求められます。

・機器分析(NMR・LC/MS・GC・IR)

機器分析は、構造確認と純度確認を目的に使い分けます。NMRは構造と立体・異性の手がかり、LC/MSは目的物の同定と追跡、HPLCやGCは純度と不純物の定量、IRは官能基の有無を短時間で確認するのに有効です。

つまずきやすいのは、混合物や異性体、溶媒ピーク、分解によるスペクトルの崩れです。測定結果を眺めるだけではなく、反応機構と照らして「どの不純物が出ていそうか」「次にどんな条件を変えるか」まで落とし込めると、分析が武器になります。

報告では、測定条件と判断根拠をセットで書きます。例えばNMRなら溶媒、周波数、帰属の根拠、LC/MSなら観測イオンと保持時間、純度なら測定法と算出方法を明記し、第三者が追える形に整えます。

・物性評価・性能評価(材料・化成品)

材料・化成品では、合成した分子が狙いの性能を出すかどうかが最終ゴールになります。DSCやTGAで熱特性を見たり、GPCで分子量分布を確認したり、粘度や電気特性、耐久性、分散性などの評価を行い、合成条件と物性の因果を探ります。

評価が難しい点は、性能が複数要因の合成結果になっていることです。例えば同じ骨格でも、微量不純物や末端構造、分子量分布の違いが性能を左右します。合成側は評価データを見て「どのパラメータを動かせば狙いに近づくか」を仮説化し、次の合成に反映させる必要があります。

この改善サイクルを回せる人は、単なる合成担当ではなく、製品化に近い価値を出せます。評価担当と同じ言葉で議論できる最低限の評価理解が、キャリアの伸びに直結します。

・データ整理・報告書作成・特許対応

有機合成研究職では、実験の質は記録の質で決まります。実験ノートは「その通りにやれば再現できる」レベルで、試薬ロット、添加順、温度推移、時間、観察事項まで書き、後から解釈できる情報を残します。

報告書や会議資料では、結論だけでなく意思決定の根拠が求められます。なぜその条件を選び、何を比較し、どのデータで良し悪しを判断したのかを説明できると、チームでの合意形成が速くなります。

特許対応では、先行特許との違いを明確にし、実施例と比較例で効果を示すデータ取りが重要です。企業研究では、研究成果を守り、使える形で残す知財意識が評価や昇進にもつながります。

求人でよく見る募集パターン

求人票の「有機合成」は範囲が広く、合成だけでなく分析・評価・周辺業務まで含むことが多いです。代表的な募集パターンを知るとミスマッチを減らせます。

有機合成の求人は、同じ職種名でも担当範囲が大きく異なります。合成中心の求人だと思って入社したら、実際は分析や評価の比率が高かった、というケースは珍しくありません。

ミスマッチを減らすコツは、求人票の文言を工程に分解して読むことです。合成、精製、分析、評価、記録、GMP対応、スケール感、チーム体制がどこまで含まれるかを具体化して確認します。

以下の代表パターンを知っておくと、面接での質問も的確になり、入社後のイメージが持ちやすくなります。

・大手医薬品メーカー:化合物合成+機器分析

探索合成では、合成とNMR、LC/MSなどの分析がセットで求められることが多いです。大量に作るより、短い納期で正確な構造確認を回す力が重要になります。

確認したいポイントは、スピード重視か品質重視か、GxPや品質要求があるか、分業体制か一気通貫かです。分業が進んだ組織では、合成担当が評価まで触れない場合もあるため、自分が伸ばしたいスキルと合うか見極めます。

チーム連携も重要で、合成結果を生物評価側へ渡すためのデータ整備やサンプル品質の安定化が成果に直結します。

・化学メーカー:合成+評価(物性・性能)

材料系の求人は、合成したものを評価装置で測定し、結果から次の合成条件に反映する役割が多いです。評価が半分以上を占めるケースもあるため、合成と評価の比率を必ず確認します。

評価経験が少ない場合でも、学生時代にDSCやGPC、粘度測定などを触っていれば棚卸しできます。大切なのは装置名より、何の指標を見て、どんな意思決定につなげたかです。

合成だけを深めたいのか、製品性能まで踏み込んで価値を出したいのかで、選ぶべき求人は変わります。

・研究開発補助:有機合成・分析中心

研究開発補助では、手順に沿った合成、精製、分析、サンプル調製が中心になりやすく、器具管理や在庫管理、廃液管理などの周辺業務も含まれます。

評価されるのは、再現性、手順遵守、安全、記録の正確さです。スキーム提案よりも、日々の実験を安定して回し、データの信頼性を担保できることが強みになります。

有機合成職への入口としても有効で、現場で基礎操作と記録の型を身につけると、次の転職で上流工程に挑戦しやすくなります。

・大学研究室:合成実験補助・生化学実験を含む場合

大学の実験補助では、有機合成に加えて、細胞試験、酵素反応、タンパク精製などが含まれる場合があります。研究テーマによって必要スキルが大きく変わるため、業務範囲の確認が重要です。

確認すべきは、危険物や有機溶剤の扱いに加え、動物や細胞の取り扱いの有無、休日対応、実験の時間拘束です。合成が中心だと思っていたのに、バイオ実験が主業務になることもあります。

希望とのすり合わせでは、将来どの職種に進みたいかを起点に考えると判断しやすくなります。合成を軸にするなら、合成比率と分析比率を具体的に確認しましょう。

・実務経験不問の求人で見られる条件

実務経験不問の求人では、修士や博士の研究経験を実務相当として扱うケースがあります。また、分析機器の使用経験があれば可、OJT前提、危険物や有機溶剤作業への適性が条件になることも多いです。

応募可否の判断では、必須要件と歓迎要件を切り分けます。必須に近いのは安全に作業できる基礎操作と、NMRやLC/MSなどで最低限の構造確認ができることです。歓迎要件は面接で補足し、学び続ける姿勢で埋められます。

研究年数の換算が不安な場合は、年数よりも実験量と担当範囲で示す方が通りやすいです。例えば、何種類の反応を扱い、どのスケールで、どこまで自走できたかを具体化します。

必要なスキル・経験

採用で見られやすいのは「安全に再現性よく合成できるか」「分析で構造・純度を説明できるか」「テーマを言語化できるか」です。職種横断で重要なスキルを整理します。

有機合成の採用では、難しい反応を知っているかよりも、基本操作を安全に再現できるか、データを根拠に議論できるかが強く見られます。特に企業では、他者が追試し、製造へつながる形で知見を残せる人が重宝されます。

スキルは単体ではなく、仕事の流れの中で評価されます。例えば「NMRが測れます」だけでは弱く、「NMRとLC/MSで目的物と副生成物を切り分け、条件変更の仮説を立てた」まで言えると強みになります。

ここでは、実験スキル、安全、分析、経験の伝え方の3点に分けて整理します。

・必須になりやすい実験スキルと安全管理

必須になりやすいのは、秤量、乾燥、雰囲気制御、滴下、温度管理、抽出・洗浄、乾燥、ろ過といった基本操作を、目的を理解して安定してできることです。操作の丁寧さは収率や純度だけでなく、データの比較可能性に直結します。

安全管理では、有機溶剤の曝露対策、反応の発熱・ガス発生リスク、廃液分別、危険物の保管などを当たり前にできることが前提になります。特にスケールアップでは、小さな異常が重大事故につながり得るため、事前に危険を言語化し、手順に落とす力が求められます。

企業ではコストと設備制約も安全と同じくらい現実的な条件です。高価な試薬や特殊設備に頼る条件は採用されにくいことがあるため、代替案を考える姿勢が評価されます。

・評価されやすい分析スキル(NMR・LC/MS など)

分析スキルで差がつくのは、測定できることより、解釈して次のアクションを出せることです。NMRなら帰属の根拠を説明できるか、LC/MSなら目的物と副生成物の候補を挙げられるか、HPLCやGCなら純度と不純物の傾向を追えるかが見られます。

例えば、反応が進まないときに、原料の残存か分解かをLC/MSで切り分け、NMRで官能基変換の有無を確認し、溶媒や塩基を見直す、といった流れを語れると実務力が伝わります。

アピールでは装置名の羅列を避け、どの装置で何を判断し、どう改善したかを短いストーリーでまとめると伝わりやすいです。

・テーマ経験の伝え方(医薬・材料・電池素材など)

業界が違っても移植できる経験は多く、テーマを反応タイプ、官能基変換、精製、スケール、分析、評価設計に分解して説明すると通りやすくなります。例えば医薬から材料へ移る場合でも、反応開発の進め方や不純物の潰し込みは共通の価値です。

成果は、収率や純度だけでなく、再現性、工数短縮、不純物低減、性能向上など、意思決定に効く指標で表現します。企業はプロセス全体の最適化を求めるため、単発の最高値より、安定して出せる状態を作った経験が強いです。

守秘がある場合は、化合物名や用途を一般化し、数値と手法は残す形で書き換えます。何を工夫し、どのデータで判断したかが伝われば、具体名がなくても評価されます。

未経験・第二新卒・研究補助から目指す方法

未経験でも、研究経験の言語化と入り口戦略(研究補助や柔軟な雇用形態)で有機合成職へ到達できます。段階的な進め方を紹介します。

有機合成は専門職なので未経験だと不利に見えますが、実際には学生研究や研究補助で得た経験を実務の言葉に翻訳できれば、応募できる求人は増えます。鍵になるのは、実験をした事実ではなく、再現性と改善のプロセスを示すことです。

また、最初から理想の職位にこだわりすぎると機会を逃しがちです。研究補助や派遣など、実務経験を積みやすい入口から入り、合成・分析・記録の型を固めて次の転職で広げるルートは現実的です。

ここでは、研究のまとめ方と、柔軟な働き方を使った戦略を紹介します。

・学生時代の研究を職務に落とし込む(研究概要の作り方)

研究概要は、研究目的、課題、手法、自分の担当、工夫、結果、考察、次の打ち手の順で1枚にまとめると、面接で説明しやすくなります。研究の全体像と自分の貢献が同時に伝わるためです。

合成・精製・分析は具体で書きます。扱った反応の種類、スケール感、収率や純度の範囲、使用した装置、再現性の確保方法、失敗からの改善を数値で示すと、実務に近い評価軸になります。

さらに企業目線に翻訳します。例えば、危険反応の対策、溶媒や試薬のコスト意識、納期に向けた優先順位付けなど、学生研究では書きにくい点も、考え方として示すだけで説得力が上がります。

・派遣・契約・週3〜など柔軟な働き方から始める

派遣や契約、時短など柔軟な雇用形態は、実務経験を作る入口になりやすいです。研究補助として合成、分析、記録の基本を回し、現場で成果を出すことで、正社員や上流工程への道が開けます。

メリットは入りやすさと経験獲得の速さです。一方で注意点として、業務範囲が限定されてスキルが偏る、評価や発表機会が少ない、契約更新の不確実性があるなどが挙げられます。

重要なのは、どの経験を何ヶ月で獲得し、次にどんな求人へステップアップするかを最初に設計することです。実験だけでなく、データ整理やSOP、改善提案など、次の転職で語れる成果を意識して積み上げます。

働き方とキャリア

同じ有機合成でも、雇用形態や配属フェーズで任される範囲が変わります。中長期でどんな経験を積むと市場価値が上がるかも確認しましょう。

有機合成のキャリアは、何を作るかよりも、どのフェーズで価値を出せるかで市場価値が変わります。探索寄りならスピードと幅、開発寄りなら再現性と不純物制御、製造寄りなら安全とコストと移管の経験が強みになります。

働き方は雇用形態だけでなく、組織の分業度合いでも変わります。合成専任か、分析まで一気通貫か、評価や知財まで関わるかで伸びるスキルが違うため、短期の働きやすさと長期の成長機会を分けて考えることが重要です。

ここでは、雇用形態による違いと、収入や裁量につながりやすい経験を整理します。

・雇用形態(正社員・派遣)での業務範囲の違い

正社員は、テーマ推進、条件設計、関係部署調整、知財対応、量産移管など、意思決定を含む業務を任されやすい傾向があります。研究の説明責任を負い、社内外の合意形成を進める役割が増えるため、技術以外の力も伸びます。

派遣は、実験実務、分析、データ整理が中心になりやすく、現場で手を動かすスキルを短期間で磨きやすいです。再現性高く回せる人は評価され、職場によっては改善提案や手順作成まで踏み込めることもあります。

ただし職場により例外はあります。面接や職場見学で、誰がスキームを決めるのか、評価や報告の担当範囲はどこまでか、キャリア面談や登用制度があるかを確認すると判断しやすくなります。

・キャリア&収入UPにつながる経験(新素材開発・リーダー経験)

市場価値が上がりやすいのは、上流の分子設計や反応開発、プロセス設計など、難易度が高く代替が利きにくい領域の経験です。特に新素材開発や高難度官能基変換、不純物制御などは、成果が残れば強い武器になります。

また、スケールアップや製造移管の経験は企業で高く評価されます。実験室の成功を、製造で再現できる形に落とし込める人は限られるためです。ここでは安全、コスト、設備制約の中で最適解を作る力が問われます。

リーダー経験や後輩指導、外部連携も収入や職位に結びつきやすいです。成果は特許、社内表彰、標準化(SOP化)などで形に残すと、転職市場でも説明しやすくなります。

求人の探し方と応募準備

ミスマッチを防ぐには、求人票の読み解きと、職務経歴書・面接での再現性あるアピールが重要です。探し方と準備をセットで整理します。

有機合成の求人探しは、求人数の多さより、情報の解像度が成果を左右します。求人票の「有機合成」を具体的な工程に分解し、自分の経験がどこで価値になるかを照合することが第一歩です。

応募書類は、専門性の高さゆえに、相手が同分野とは限らない前提で書く必要があります。採用担当や人事にも伝わる構造で、専門的な部分は要点と根拠が追える形にまとめると通過率が上がります。

以下では、求人票のチェック観点、書類で書くべき要素、面接対策を整理します。

・求人票で見るべき項目(合成/分析/評価の比率)

まず確認したいのは、合成、分析、評価の業務比率です。次に、その仕事の目的が探索なのか、開発なのか、量産支援なのかを見ます。目的によってスケール感、純度要件、記録の厳しさが変わるためです。

使用機器や必要な反応・精製も重要です。NMRやLC/MSが必須か、HPLCの運用がどの程度か、再結晶中心かカラム中心かなどで、求められる経験が具体化します。

加えて、GMPやGxPの有無、ラボ体制、共同研究の有無、残業や休日対応、危険物の取り扱いレベルも確認します。曖昧な場合は面接で、1週間の業務の流れとサンプルのスケール、評価の担当範囲を質問すると実態が見えます。

・職務経歴書・研究概要で書くべき要素

書くべき要素は、プロジェクト概要、担当範囲、扱った反応の種類、精製手法、分析装置、スケール、成果を数値で示したもの、工夫、再現性、トラブル対応、安全配慮です。合成の上手さは、トラブル時の切り分けと改善で伝わります。

特許、論文、学会発表、社内発表などがあれば、役割と成果を明確にします。チームでの役割も重要で、分業環境でどこまで自走し、どこで連携したかを書くと、入社後の働き方が想像しやすくなります。

守秘がある場合は、化合物名や顧客名を一般化し、反応タイプ、スケール、改善指標、評価方法など再現可能な情報を残す方針で書き換えます。詳細を伏せても、思考プロセスと判断軸が伝われば評価されます。

・面接で聞かれやすい質問と回答のポイント

よくある質問は、なぜこの業界や会社か、合成での失敗と改善、安全で気をつけていること、NMRやLC/MSの読み方、スケールアップ経験、納期対応、チーム連携です。質問の意図は、実験力よりも再現性と説明力、そして安全意識を確認する点にあります。

回答は、状況、課題、行動、結果の順で具体化し、数値と判断軸を添えると説得力が出ます。例えば、収率や純度の改善、反応時間の短縮、不純物低減、再現性の回数など、測れる指標で語ります。

技術的な深掘りには、なぜその条件を選び、どのデータで判断し、次に何を試すかを説明できるよう準備します。完璧な成功談より、失敗からの切り分けと安全なリカバリーの話の方が評価されやすいことも多いです。

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まとめ:研究職の有機合成は業界別の仕事内容と必要スキルを押さえて選ぶ

有機合成研究職は、医薬・化学・アカデミアで目的と評価軸が変わり、求められるスキルセット(合成・分析・評価・安全・知財)の比重も異なります。自分の経験を分解して言語化し、求人票の業務比率と照合しながら、最適な入り口とキャリア設計で転職を進めましょう。

研究職の有機合成は、合成そのものの技術だけでなく、再現性、安全、分析による根拠づけ、そして成果を説明できる記録と報告で価値が決まります。業界が違えば、スピード重視なのか、量産を見据えた最適化なのか、物性と性能の改善なのかが変わるため、仕事内容の解像度を上げることが重要です。

求人では「有機合成」の中身を、合成・分析・評価の比率、スケール感、品質要件、GMPや知財対応の有無まで落として確認すると、入社後のギャップを減らせます。面接では、条件選定のロジックと失敗からの改善、そして安全の考え方を具体的に語れるように準備しましょう。

未経験や第二新卒でも、研究経験を工程ごとに分解して言語化し、入口として研究補助や柔軟な雇用形態を活用すれば、実務経験を積んでキャリアを広げられます。自分が関わりたいフェーズを明確にし、必要なスキルを計画的に積み上げることが転職成功の近道です。

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