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学問色が強い理学部生の就職先とは?~研究職×学部シリーズ⑦~

『理学部生は工学部生に比べて就活が難しい?』という話を耳にしたことはないでしょうか・・・。実際は、そうではなく、企業からも重宝されることも多いようです。では、理学部生はどんなところに就職しているのでしょうか。また就活のアドバイスも記載しているので、是非チェックしてみてください☆


理学部は基礎的・理論的な学問を追求する学部として知られています。そのため、就職には不利・・・みたいなことを耳にします。しかし、実際には理学部で培った論理的思考力やデータ分析力、課題解決能力などは多くの業界で重宝されているという実態もあり、一概に就職が難しいとは言えません。

そこで本記事では、理学部の特徴や研究職の概要、研究職の人気業界、そして理学部出身者への就職アドバイスに至るまで、キャリア設計に役立つ情報を幅広くご紹介します。学問を追究したい方も就職を見据えている方も、ぜひ参考にしてください。

◆理学部とは?◆

理学部は自然界の法則や現象を解明する学問分野です。各学科で扱う分野は異なりますが、どの学科も基礎的な理論と実験を通して科学的な思考力を養うことを大切にしています。

◎物理学科

物質やエネルギー、それらを支配する宇宙全体の基本法則を明らかにするのが物理学科です。実験によって検証可能な事実を集め、理論的に体系化するプロセスを重んじるため、論理性と実験的センスを同時に鍛えられる学科でもあります。

学部課程でも、ミクロからマクロまで多彩な領域を扱います。量子力学や相対性理論のように高度な内容を学ぶ機会もあり、興味のある分野に対して深くアプローチできる点が魅力です。

研究室に配属される段階になると、先進的な領域に携わるケースも多くなります。将来的には材料開発やエネルギー応用、宇宙関連の研究など幅広いフィールドで力を発揮できるため、研究職はもちろん技術開発職でも重宝されています。

◎化学科

物質の構造や性質、反応を追究し、新しい物質や化合物を開発するのが化学科です。無機化学や有機化学、生化学など多岐にわたる領域を扱うため、基礎知識の幅が非常に広くなります。

実験を中心としたカリキュラムで、合成や分析の手法を実践的に学べるのが大きな特徴です。製薬会社や化粧品業界など、多くの企業が化学科出身者を研究開発職として欲しており、活躍できる業界は幅広いと言えます。

ただし、より専門的な研究に携わりたい場合は修士課程への進学が有利です。大学院を経ることで、企業の製品開発や基礎研究部門など様々なキャリア選択肢へつながりやすくなります。

◎生物学科

生物学科では、微生物から動植物、そして人間に至るまで、多様な生命現象を分子レベルから探究します。遺伝子工学から生態系の維持管理まで、研究領域が広いため学ぶ範囲はとても幅広いです。

応用に目を向けると、医療や環境保全、食品分野などでの利用が考えられ、人々の生活を直接支える研究も数多く存在します。近年はバイオテクノロジーの重要性が高まっており、新薬や新素材、環境浄化技術の開発に関わる機会も増えています。

基礎研究を重視する理学部の中でも、生物学科の研究は多分野との連携が活発です。実験設計やデータ解析スキルをしっかり身につければ、研究所勤務だけでなく産業界でもその知見を活かせるでしょう。

◎数学科

数学科は、自然科学や工学の基礎となる数理的理論を体系的に学ぶ学科です。論理的思考や抽象的な概念を扱うため、一見すると実践部分が少ないように見えますが、実際には幅広い分野に応用可能な力を養います。

統計解析やデータサイエンス、アルゴリズム開発など、現代社会で求められている専門知識も吸収しやすいのが強みです。IT系企業や金融機関でのモデル構築など、数学科出身者が活躍できる仕事は急激に増えています。

理学部の数学科で培う抽象思考力は、いわゆる研究職だけでなく、問題解決型のプロジェクトにおいて重要な役割を担うことが多いです。特にビッグデータの解析やAI関連のアルゴリズム開発などでは、人材需要が高まっています。

◎地球科学科

地球科学科は、地球や惑星の成り立ちや気象・海洋などのダイナミクスを研究する学科です。地質学、気象学、海洋学など多岐にわたる視点を取り入れ、フィールドワークや観測データと理論を結びつけます。

地球規模の問題、たとえば自然災害や気候変動は、今まさに社会の重要課題として注目されています。こうした課題に科学的アプローチで立ち向かえるのが地球科学科出身者の強みでもあります。

就職では資源探査やエネルギー関連企業、気象予測などに携わる研究所へ進む方が多い傾向にあります。資格としては学芸員などを取得して研究機関や公共施設で働くケースもあり、意外に進路の選択肢は幅広い学科です。

◆研究職とは?◆

研究職は、新しい知見や技術、製品などを生み出すために活動する職種です。大学や企業の研究所などを拠点に、理論から応用まで幅広く研究を行います。

◎研究職の種類と就職先

研究職には大きく分けて基礎研究と応用研究があります。また、研究職は、多様な分野にわたって存在するため、その就職先もさまざまです。理学部では身につける基礎的な知識は多用な分野に応用可能なので、自分の専門分野以外にも活躍できる場は多いです。

*詳しくはこちらのコラムをご覧ください。*

【研究職を目指す人必見!】研究職の分野別・人気5選&向いている人の特徴を解説!

研究職でのやりがい

研究職のやりがいは、未知の分野に挑戦し、新しい知識や技術を生み出せることにあります。自分が行った研究が学会や論文で高く評価されると、大きな達成感が得られるでしょう。

また、研究内容が直接社会の課題を解決したり、人々の生活を向上させる製品やサービスに結びつくことが多いため、社会貢献度が高いという魅力も大きいです。医薬品や新素材、環境技術などは特にわかりやすい例といえます。

結果を出すまでに時間がかかるケースもありますが、その過程で培われる知識やスキルは他の職種では得にくい貴重な財産となります。挑戦を続ける中で成長を実感することに、大きな喜びを感じる研究者も少なくありません。

◆理学部出身者に研究職が人気な理由とは?◆

理論的な考察や実験を通じて知的探究心を満たすことができるのは、理学部出身者にとって大きな魅力です。では、どのような点で研究職が支持されているのでしょうか。

◎大学で学んだことを活かせる

理学部のカリキュラムは、基礎理論を深く掘り下げる構成が多いです。実験手法やデータ解析のための統計スキルなど、研究職で重宝される技能を身につけられます。

学部時代の卒業研究でも、一つの課題に対して仮説を立て、実験や観察、数値解析などを繰り返して検証するプロセスを経験できます。この経験は実務の研究現場でも十分に活かせます。

特に化学や生物、物理の分野は企業研究所での応用が幅広く、学部研究レベルの知見でも企業が高く評価してくれる場合があります。製薬や材料開発の世界では、理学部の基礎力は欠かせない存在です。

社会貢献できる

研究によって得られる新しい知識や技術は、医療や環境、情報技術など多くの分野で革新的な成果を生み出す可能性があります。理学部出身者の探究心が人々の生活を支える基盤となることも少なくありません。

実際に新薬の開発や公害対策に役立つ技術など、自分の研究が直接社会問題を解決する事例は多く存在します。理学部で学んだ知識がもとになっていると思えば、やりがいも高まるでしょう。

また、学術的な発見そのものが長期的に見れば社会のイノベーションにつながることもあります。そのため、理学部の研究は基礎的な内容であっても大きな意義を持つと言えます。

平均年収が高い

研究職は専門性が高く、その分野で成果をあげるほど給与レンジも高くなる傾向があります。特に製薬企業や化学メーカーなどでは報酬水準が比較的高く、やりがいと待遇の両面で満足度を得られる可能性があります。

高度な研究に携わるため、努力に見合った評価やキャリアアップが期待しやすいという点も、理学部生が研究職を選択する大きな理由のひとつです。

もちろん企業規模や職種によって差はあるものの、研究職は専門性が評価されやすく、成果を上げれば昇進や研究費の獲得につながることも少なくありません。長期的な視点で見ても、将来性のあるキャリアパスと言えます。

◆研究職の人気業界5選◆

理学部生が研究職として活躍できる業界は多岐にわたります。ここでは特に求人ニーズの高い5つの業界をピックアップしてご紹介します。

◎食品業界

食品業界では新商品の開発や品質管理、安全性検証などに研究職が深く関わります。化学や生物学の知識が必要とされ、味や成分の分析はもちろん、微生物コントロールや保存技術など、理学部で学ぶ幅広い基礎力を活かす機会が多いです。

実際に大手食品メーカーでは、大学院での研究内容を即戦力として期待するケースもあり、募集要項に理学部歓迎と明記されていることもあります。食品の安全基準や衛生面での国際規格が厳しくなるほど、専門人材の需要は高まっています。

また消費者ニーズの多様化や健康志向の高まりに伴い、研究の方向性は年々変化しています。そのため、新たな食材や調理法の開発など、新規プロジェクトに取り組めるチャンスが豊富なのも魅力です。

化粧品業界

化粧品業界では、有効成分の開発や皮膚科学を基盤とする研究が行われています。化学や生物学の知識を活用して新成分の機能性や安全性を確認し、製品へ応用します。

化粧品は直接肌に触れるため、理学部出身者が得意とする細やかな分析力や実験スキルが重視されやすい分野です。製品の効能を証明するデータ取得や、低刺激性・アレルギー対応成分の検証など、研究テーマは多岐にわたります。

海外マーケットへの拡大やパーソナライズ化粧品の流れも加速していることから、化粧品業界の研究部門はさらに活発化しています。理学部で学ぶ基礎力があれば、新しい成分設計にも柔軟に対応できるでしょう。

製薬業界

製薬業界は、理学部から研究職として進む代表的な場の一つです。新薬の研究・開発は長期にわたることが多く、大学での基礎研究や修士課程での専門知識が大いに評価されます。

実際、製薬会社によっては学部制限を設けている場合もありますが、修士・博士課程へ進学することでその制限をクリアできるケースが多いです。医薬品の有効性や安全性を見極めるための実験・分析スキルは理学部の強みです。

グローバル化が進む中、英語力のある研究者も重宝されるため、語学力を併せ持つとキャリアアップに有利になるでしょう。新薬開発は人々の健康に直結するため、大きな社会貢献度と高い専門性のどちらも得られる業界です。

化学業界

化学業界では、基礎化学から応用に至るまで幅広い研究テーマが存在します。エネルギー材料や高性能樹脂の開発など、高度な化学的知識が求められる領域が多いため、理学部出身者の能力が直接活きるでしょう。

企業によっては研究施設が充実しており、基礎研究から得た知見が新素材の創出や既存材料の改良につながるケースも珍しくありません。環境規制の強化や資源問題の高まりにより、新素材や代替技術は今後ますます注目される分野です。

理学部の化学科出身者はもちろん、物理学的なアプローチや数学的モデリングができる人材も重宝されています。幅広い視点で化学現象を捉える力が、イノベーションの原動力となるのです。

IT業界

IT業界は一見文系出身者が中心のように思われがちですが、実際には数理的な思考やアルゴリズム構築ができる人材の需要が非常に高まっています。理学部の数学科や物理学科出身者が、データサイエンスや機械学習の研究開発で活躍する場面が増えています。

特にビッグデータ解析では、複雑なモデルの構築や統計手法の高度な理解が不可欠です。研究開発部門で新たなAI技術や最適化アルゴリズムを生み出すには、理学的な基礎力が大きく役立つと言えます。

IT企業の研究職では、数理モデルをサービスやプロダクトに落とし込む応用力が重要です。理学部ならではの論理的思考と探究心が、デジタル社会を支える新技術開発の原動力になっています。

◆理学部出身者への就職アドバイス◆

理学部出身者が研究職に進むにあたって押さえておくとよいポイントをご紹介します。自分の強みを的確に伝えるためのヒントになるでしょう。

◎専門分野に固執しすぎない

理学部で培った知識やスキルは非常に幅広い応用が可能です。特定の研究分野だけにこだわらず、他分野とコラボレーションできる柔軟性があると、新しい研究テーマを切り拓ける可能性が高まります。

企業や研究機関からは、異分野の知識を取り入れて新しい創造を行う姿勢が期待されています。柔軟な発想や協調性を持つ人材は、プロジェクトを円滑に進めるうえでも欠かせません。

複数の分野を横断的に学んだり、関連するセミナーや勉強会に参加することで、自分の専門外の世界を知る機会を増やすのもおすすめです。

研究内容をわかりやすく伝える

面接などの場で、研究内容を一般の人にも理解してもらえるように説明できるかどうかは、採用側が重視するポイントです。自分が懸命に取り組んだ研究テーマだからこそ、専門用語を端的に噛み砕いて伝える工夫が求められます。

特に理学部の研究は基板となる理論や抽象的な概念が多いこともあり、 jargon に頼ると聞き手を置き去りにしてしまいがちです。プレゼンテーションの練習や、身近な例に置き換えて話す努力を惜しまないようにしましょう。

言葉だけでは伝わりにくい場合、簡単な図解や具体的なデータを用いて説明するのも有効です。一貫したロジックがあれば、専門外の人にも十分に理解してもらえます。

資格を取得する

理学部出身者が研究職に進む場合、大学院進学が有力な選択肢とされることが多いですが、必要に応じて専門資格を取得するのも有効です。毒物劇物取扱責任者など、実験に関連する資格があると研究室配属で有利になることもあります。

さらに、国際的な研究プロジェクトが増えている昨今、英語力は大きな武器となります。英語の資格試験で一定のスコアを持っていると、海外との共同研究や学会発表でも活躍できるでしょう。

資格には即効性がないものもありますが、継続的に学びの姿勢を示すことで、意欲の高さと専門性をアピールできます。研究職としてキャリアを積む際に、プラスアルファの強みとなるはずです。

◆まとめ◆

理学部出身者は、学問色の強さを活かした研究職への強い適性を持っています。自分の興味をさらに深堀りしていくことで、将来のキャリア選択に大きく活かせるはずです。

理学部で学ぶ基礎科学は、未知の領域を切り拓くうえで欠かせない土台となります。学問を深める道として大学院進学を選ぶか、学部卒で企業へ飛び込むかは人それぞれですが、いずれも幅広い可能性が開かれています。

研究職を目指す場合は、自身の専門や興味関心をどのように応用していくかが重要です。大手企業から中小企業、さらにはベンチャーや公的研究機関まで、多様なフィールドがあるので柔軟に考えてみてください。

最終的に大切なのは、自分の得意分野を活かしながら社会貢献につなげていく姿勢です。理学部という学問色の強い背景を、ぜひ研究職で存分に活かし、充実したキャリアを築いていただければと思います。

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